KT-150pp全段差動メインアンプモノラル仕様2台を製作し9月初めに納品しました。

このアンプは最大出力35Wを得ています。
また入力には-0.5db、-1.0db、-2.0、-3.5db、-5.0dbと5段階のATTを採用しました。さらに負帰還量を-5.04db、-4.44db、-3.35dbとSWで切り替え可能としました。
周波数特性 負帰還量-5.04db時 10Hz〜90KHz -3db以内
負帰還量-4.44db時 10Hz〜80KHz -3db以内
負帰還量-3.35db時 10Hz〜70KHz -3db以内


納入して数日後にDCバイアス調整用の可変抵抗器(リンクマン製)が故障しアルプス製に交換しました。
リンクマン製の可変抵抗器は抵抗体部と半田付け用端子間の配線が導電材料の印刷で形成されておりこの部分が接触不良を起こしていました。やはり日本製が安心です。
納品したお客様より感想をいただきましたので以下に掲載させていただきます。
定位や音の分解能は極めて高く、小生が製作した様々なぺるけ式全段差動アンプと同じです。
ボリュームを上げてもボーカルが不自然に膨らみません。各楽器の位置は左右・奥行き・高さ方向いずれも良く分かります。
KT-150の音質についてはKT-88よりもEL-34に近いと感じました。
音が前に出るというより色付けの少ない素直な音です。
低音はボトムエンドがしっかり支えられて出ています。量が増えたのではなく裾野が拡がる感じです。
ライブ音源を再生すると録音された暗騒音から空気感が伝わってくるので会場に居るような気分です。
また、試聴にいつも使っている音源では、ボーカルが発生する瞬間にお腹に力を入れる様子が分かりました。
これらの特徴はEL-34より優れています。
一方、一般的な真空管アンプのイメージである「暖かさ」や「柔らかさ」はほぼ感じません。
なお、これらの特徴は小生が求める方向ではないので全く問題ありません。ただ、ボーカルや弦の艶・色気がもう少し欲しい気持ちはあります。
これは解像度や色付けの少なさとトレードオフかもしれませんので悩ましいところです。
おそらく電圧増幅段の6H8Cを別ブランドに差し替える事で変わるかな?と思っています。
手元のEL-34ppで唯一不満だった音量を上げると歪みを感じてしまう点はKT-150ppで解消致しました。
部屋が約20畳の石井式専用室のため、90db超まで音量を上げることがあります。アンプの出力でおよそ2〜3W位いです。
EL-34ppではちょうど音を浴びる気持ち良さが感じられる音量で高音の歪みが気になり出すのですがKT-150ppでは問題ありません。
NFB量切替SWは付けていただいて正解でした。
わずか1db程度違うだけで結構変化がありますね。低音の締まりが変わるのは予想した通りでしたが、楽器の奥行き感も変わるのは初めて知りました。
今後は自作品にもつけてみたい機能です。3ポジションを時間を掛けて鳴らした結果手元の環境(スピーカー:infinity kappa8.2i)では中段のNEB-5.04dbが好みでした。
Kappa8.2iの能率は89db/2.8Vrmsですが、残留雑音ほとんど無音です。
試聴位置で耳を澄ますとトランスの唸り方の方が聞こえるほど静かです。
発熱も全く問題ありません。手元のEL-34ppよりシャーシ温度は低いくらいです。
各部品の組付け状態や加工面の手入れを見ますと大変丁寧に作られたことが良く分かります。
世界に1組だけの晴らしいアンプを製作していただき改めてお礼申し上げます。
最後に一つだけ希望を言いますと「JAZZ AUDIO LAB RE」の名前が入った型式銘板が欲しいです。
これがあればさらに素敵になるのではないかと思いました。
全段差動アンプの製作や既存アンプの差動アンプ改造については下記のメールアドレスにお問い合わせください。
どうぞよろしくお願い申しあげます。
JAZZ AUDIO LAB RE